事業モデル

株式会社Lib Workは、熊本県を本拠地とする注文住宅・分譲住宅・不動産販売会社であり、インターネット・VR(バーチャルリアリティ)を積極活用した独自のデジタルマーケティング戦略を中核としたビジネスモデルを構築している。2015年に福岡証券取引所に上場し、2019年6月に東証グロース(旧マザーズ)に上場を果たしたグロース企業である。

主な事業は、戸建て注文住宅の受注・建築・販売と、分譲住宅・分譲地の企画・開発・販売で構成され、熊本県を中心に九州各地でのZEH(ゼロエネルギーハウス)対応住宅の供給にも積極的に取り組んでいる。2018年に「株式会社Lib Work」に社名を変更し、「ネットで家を売る」ビジネスモデルから「暮らしを創造する」生活創造企業への転換を掲げ、YouTubeチャンネル「Lib Work ch」では登録者数15万人を突破するなどデジタルコンテンツを活用した集客モデルを強みとしている。

売上高は2025年6月期に約160億円に達し、主力の戸建て住宅事業に加え、グループ子会社を活用した事業多角化も進めてきた。2026年2月には完全子会社の吸収合併(簡易合併・略式合併)を実施し、グループ内の経営効率化も図っている。

KPI

Lib Workの主要KPIとしては、まず売上高成長率が重要な指標であり、2019年6月期から2022年6月期にかけて急速な拡大を遂げ、2022年6月期には前期比46.3%増の約138億円を記録した。2025年6月期の売上高は約160億円(前期比3.7%増)と成長ペースは落ち着いている。利益率面では、2025年6月期の営業利益率は5.21%(前期比+2.0%pt)と改善傾向にあり、8億3300万円の営業利益を計上した。

原価率は2025年6月期に72.57%まで低下(前期75.91%)し、コスト管理の改善が見られる。ROEは2025年6月期に10.49%(前期8.48%)と二桁台を回復し、ROAも4.29%(前期3.30%)と向上した。一株配当は2025年6月期も6.4円で据え置き、配当性向は30.2%である。

有利子負債は2025年6月期に約38億円(前期43億円から削減)、自己資本比率は40.9%まで回復している。一方、2026年6月期の通期予想では売上高150億円(前期比6.3%減)、純利益1億9000万円(前期比61.6%減)と大幅な減益が見込まれており、実際2026年6月期第2四半期では経常損益が▲200万円と赤字転落している点が懸念材料となっている。

成長ドライバー

Lib Workの成長ドライバーとして、まず最も重要なのがデジタルマーケティングを活用した低コスト集客モデルである。同社はYouTubeチャンネル「Lib Work ch」の登録者数15万人超や、SNS・WEBを駆使した住宅顧客獲得手法により、従来のハウスメーカーと比較して販売費・一般管理費率を抑制しながら受注獲得を実現している。

第二の成長ドライバーはZEH(ゼロエネルギーハウス)対応住宅の普及であり、政府の省エネ住宅支援策(補助金制度、住宅ローン減税)を追い風に、同社の主力商品のZEH比率向上が進んでいる。第三には九州・熊本エリアでの地域密着展開があり、人口増加傾向にある熊本市近郊での分譲地開発・注文住宅受注を拡大している。

また、2023年8月に策定した中期経営計画「NEXT STAGE 2026」に基づく事業目標の追求も中長期的な成長軸となっており、建設技術の高度化と施工体制の効率化も収益性向上に寄与している。2025年6月期の原価率が前期比3.3%pt改善(72.57%)した背景には、建材・仕入れコストの最適化や施工管理の改善があると考えられる。

リスク

Lib Workが直面する主要なリスク要因として、第一に住宅市場の需要変動リスクが挙げられる。金利上昇局面では住宅ローン負担が増加し、購入者の購入意欲・購入能力が低下するため、注文住宅・分譲住宅の受注に直接的な影響を及ぼす可能性がある。2026年6月期第2四半期累計で経常損益が▲200万円と赤字転落したことは、この需要調整局面の影響を示唆している。

第二に建築資材・人件費の高騰リスクがある。木材・鉄鋼・設備機器などの建築資材は国際的な需給動向や為替の影響を受けやすく、工事費コストの上昇が利益率を圧迫するリスクがある。第三に施工能力・職人不足のリスクがあり、建設業界全体で深刻な人手不足が続く中、施工期間の遅延や品質管理上の問題が発生するリスクがある。

第四に、九州・熊本への地域集中リスクが存在する。地震(熊本地震の経験)・台風・水害などの自然災害リスクに加え、地域経済の動向に業績が大きく左右される構造的な脆弱性がある。第五に、WEBマーケティングへの依存リスクがあり、SEO・SNSアルゴリズムの変更や競合の参入によって集客コストが上昇した場合、ビジネスモデルの優位性が損なわれる可能性がある。

競合

Lib Workが競合するのは、主に九州・熊本エリアの住宅市場に参入している大手ハウスメーカー(積水ハウス1928、ダイワハウス、タマホームなど)および地域密着型の中小工務店・ビルダーである。大手ハウスメーカーは全国ブランドと豊富な施工実績を強みに持つが、坪単価が高いため、Lib WorkはコストパフォーマンスとWebマーケティングの効率性で差別化を図っている。

同社の最大の競争優位は、デジタル集客による広告宣伝費の相対的な低コスト化と、SNS・YouTube等を通じたブランド認知度の向上にある。同社の販管費率は2025年6月期に22.23%と、大手ハウスメーカーの販管費率(通常20〜30%)と同水準にあるが、顧客接点のデジタル化により将来的な効率化余地が残されている。

地域レベルでは熊本・九州エリアにおけるZEH対応住宅の供給実績が認知度と信頼性の向上に貢献しているが、アイフルホームやヤマダホームズなどのローコスト系ハウスメーカーとの価格競争も激しい。中期的には、デジタルマーケティングノウハウの横展開により、九州外への地理的拡大が競争力を左右する重要な課題となっている。

バリュエーション

2026年4月16日時点でのLib Workの時価総額は約155億円、株価は642円である。予想PERは78.61倍と高水準にあり、これは2026年6月期の大幅な業績下振れ(EPS予想8.17円、前期21.19円から61.4%減)が主因である。実績PBRは3.24倍、予想配当利回りは約1%(1株配当6.4円)と低水準にある。

過去の株価レンジを見ると、2020年12月に上場来高値5,220円を記録した後、業績の上下動に連動した株価変動が続いており、2025年6月期末では748円、2026年4月時点では642円水準で推移している。2025年6月期の実績ROEは10.49%と健全な水準を維持しているが、2026年6月期予想ではROE4.12%まで急低下する見込みとなっている。EV/EBITDA比率や株主資本利益率から見ると、中期的な収益正常化が実現した際には株価の再評価余地があるものの、2Qで既に赤字転落していることから、下期(2026年1〜6月)での業績回復が株価回復の鍵を握る。

52週高値838円から見ると現在の642円は25%程度の下落水準であり、業績下振れリスクは既にある程度織り込まれている可能性がある。また、中期経営計画の業績目標を修正(2025年11月12日)していることも投資家の警戒感に繋がっている。