事業モデル

株式会社ゼロジャパン(ZEROJAPAN Co., Ltd)は、埼玉県所沢市を本拠地とし、2003年設立・2024年3月にTOKYO PRO Marketへ上場した「デジタルインフラ企業」を標榜するリユース・不動産複合企業である。コア事業は5つで構成される:①リユースショップ事業(ジュエリー・ブランド品・貴金属の店頭買取・販売)、②不動産再生事業(空き家・中古物件の取得・リノベーションによる買取再販および賃貸)、③ネットショップ事業(Yahoo!オークション・メルカリ・自社EC・中国アリババ・東南アジアShoppeeへの多チャネル販売)、④ダイバーシティオークション事業(法人向けB2Bオークションプラットフォームの運営)、⑤ジュエリーレンタルショップ事業(サブスク型ジュエリーレンタル)。2025年4月にグループ再編(吸収合併等)を実施し、2025年12月には株式会社京榮建設不動産を子会社化して不動産事業を拡充した。

連結従業員数は110名(2025年10月現在)、資本金1億円。代表取締役社長は浅村裕二氏。主要取引先は日本マテリアル(株)および松田産業7456(株)という貴金属関連企業であり、リユース事業の商流上流が見える。

古物商許可(埼玉県公安委員会)・宅地建物取引業免許(埼玉県知事)・古物市場主許可を保有し、法令に準拠した事業基盤を整備している。

KPI

最重要KPIは連結売上高・営業利益・EBITDA・セグメント別売上の伸び率である。2026年6月期第2四半期累計(2025年7月〜12月)の連結業績は、売上高2,292,115千円(前年同期比27.4%増)、営業利益234,634千円(同129.1%増)、経常利益215,123千円(同144.2%増)、親会社株主に帰属する中間純利益207,919千円(同543.9%増)と大幅な増収増益を達成した。EBITDA(営業利益+減価償却費)は288,662千円(前年同期比155.3%増)で、実質的なキャッシュ創出力も急拡大している。

通期会社予想は売上高38.9億円(前期比4.6%増)・営業利益3.14億円(同49.5%増)・経常利益2.9億円(同47.2%増)と期初予想からの上方修正も実施した。1株当たり中間純利益は259.90円と、上場初年度の40.36円から大幅に改善している。リユース事業では個人買取件数・買取単価・オンライン販売比率が、不動産事業では物件取得件数・販売単価・稼働率がセグメントKPIとして重要視されると推察される。

ブルーベイシリーズの不動産物件は累計17物件に達しており、不動産再生事業の拡大ペースが確認できる。

成長ドライバー

第一の成長ドライバーは、SDGsを背景にした循環型経済への社会的関心の高まりである。リユース市場は国内外で拡大基調が続いており、消費者の「買い直す」から「循環させる」への意識変化が顧客獲得の追い風となっている。第二は多チャネル販売網の構築で、実店舗・自社EC・フリマ(メルカリ)・ B2Bオークション(ダイバーシティオークション)・海外越境EC(アリババ、Shopee)を組み合わせることで商品回転率と利益率の向上を図っている。

特に法人向けオークションは粗利率が高く成長余地が大きい。第三は不動産再生事業のM&A戦略で、2025年12月に京榮建設不動産を子会社化したことにより不動産事業の規模・ノウハウが一段と強化され、空き家・中古物件の仕入れ〜リノベーション〜販売のバリューチェーンが厚みを増した。第四は業務効率化・内製化による付加価値向上で、商品加工・査定・写真撮影等を自社で行うことでマージンを確保している。

第五はジュエリーレンタルという新規ビジネスモデルで、「所有から利用へ」という消費トレンドに対応し、サブスクリプション型の安定収益基盤を育成している。

リスク

主要リスクの第一は競合激化リスクで、リユース市場ではメルカリ・ZOZOUSED・買取王国3181・コメ兵などの大手EC・店舗チェーンに加え、ヤマダデンキ等の異業種参入も続き、買取価格競争が激化しやすい環境にある。当社は中小規模であり、ブランド認知力・仕入れスケールで大手に劣る面がある。第二は商品価値変動リスクで、ジュエリー・貴金属の価格は金相場・為替に左右されやすく、在庫評価額が急変する可能性がある。

第三は不動産市況リスクで、空き家・中古物件の取得価格・販売価格は地価・金利・人口動態に依存し、不動産市場の悪化は子会社(京榮建設不動産・明正地所)の業績に直結する。第四は借入金増加に伴う財務リスクで、2025年12月に財務上の特約が付された金銭消費貸借契約を締結しており、コベナンツ条項への抵触が事業制約となり得る。第五は古物商・宅建法規制リスクで、法改正や規制強化が事業コストを押し上げる可能性がある。

第六は小規模企業固有のリスクとして、特定人材(代表者等)への依存度が高く、人材流出や組織ガバナンスの問題が業績に影響しやすい。TOKYO PRO MarketはプロフェッショナルなJ-Adviserの管理下にあるため情報開示水準は一定担保されているものの、流動性が低く株価形成・資金調達においてスタンダード市場に比べ制約がある。

競合

リユース業界における直接競合としては、国内最大手のコメ兵ホールディングス2780(上場、ジュエリー・ブランド品に強み)、大黒屋ホールディングス6993(ブランド買取リユース)、質屋・ブランド買取チェーンの買取王国、セカンドストリートを展開するゲオホールディングス2681などが挙げられる。デジタル面ではメルカリ・ヤフオクが個人間流通で圧倒的な取引量を持つが、当社はC2Bの買取から加工・B2Bオークション・B2Cネット販売まで垂直統合型のモデルで差別化している。

不動産再生領域では地域密着の中小不動産再販業者との競合が主であり、大手ディベロッパーは市場が異なる。ダイバーシティオークション(法人向けオークションプラットフォーム)は独自のポジションで参入障壁となり得る。

越境EC(東南アジア・台湾・中国)は国内リユース大手が手薄な領域であり、ゼロジャパンが先行優位を持つ市場とも言える。競合に対する強みは「所沢地域での買取ネットワーク」「ジュエリー専門性と査定力」「多チャネル販売による回収極大化」「不動産との事業シナジー」の4点で、地域密着型の複合リユース企業としてのポジションを確立しつつある。

バリュエーション

ゼロジャパンはTOKYO PRO Marketに上場するため株価・時価総額データの入手が一般的な市場データでは限定的である。Investing.comによると時価総額は1.734B円(17.3億円程度)の表示があり、予想営業利益3.14億円に対してEV/EBIT換算では約5〜6倍程度と推計される。同業他社比較として東証上場のリユース・ブランド買取関連企業のPERは概ね10〜20倍程度であり、TOKYO PRO Marketの流動性プレミアムを割り引いても現状は割安感がある水準と考えられる。

2026年6月期中間は前年同期比129%増の営業利益を達成し、通期上方修正も実施しており、成長加速フェーズにある。EBITDAが前年同期比155.3%増と大きく改善していることは、オペレーションレバレッジが効き始めていることを示す。一方でバランスシート上は借入金増加(京榮建設不動産子会社化の取得資金)があり、財務健全性の維持が課題となる。

将来的にスタンダード市場への市場変更が実現すれば、流動性向上による株価の再評価余地は大きい。2025年11月の臨時株主総会招集や定款変更は組織整備の観点から将来の成長を支える動きとして評価できる。