事業モデル

同社は「見えないリスクを可視化する」というビジョンのもと、ドローンやデータ処理技術を活用したインフラの保守・点検ソリューションを提供しています。特に屋内のGPSが届かず、暗く危険な特殊環境において強みを発揮する自社開発の小型ドローン「IBIS」を展開しています。ハードウェアとしての機体提供に加え、3次元化クラウド「LAPIS」を用いたデータ処理やAI解析を含むデジタルツイン事業を一気通貫で提供する体制を構築しています。

事業内容は、ドローンによる点検・販売を行うドローン事業、高度な画像処理を提供するデジタルツイン事業、および次世代技術を開発するソリューション開発事業の3つで構成されます。これらのサービスは、老朽化するインフラや人手不足といった社会課題に対し、人が立ち入らずに点検できる新たな選択肢を提供することを目的としています。

KPI

同社は持続的な利益成長を目指す上で、売上高、粗利益率、研究開発費を重要な経営指標として重視しています。具体的な成果を測るための主要なKPIとしては、コアクライアント数およびコアクライアント売上高を設定しています。ここでいうコアクライアントとは、鉄道や製鉄などの重要インフラに関連する特定業種や自治体・官公庁のうち、直近2年間の取引金額が50百万円以上の企業を指します。

これらの指標を通じて、主要な顧客層への浸透度と、各業種における実業務への定着化の度合いを評価しています。また、リカーリング性の高い点検ソリューションにおいて、継続顧客の売上高割合は2025年7月期において59%を維持しています。

成長ドライバー

成長の源泉は、インフラ老朽化や人手不足といった深刻な社会課題に対するデジタルツインおよび点検DXの需要拡大にあります。特に公共領域では、BIM/CIM活用ガイドラインの普及や労働時間規制の強化により、省人化・省力化に向けたドローン活用の機運が高まっています。同社は下水道分野において自治体と連携した調査を実施するなど、特定のインフラ領域における実証と標準化を推進しています。

また、2024年11月には韓国に子会社を設立し、海外市場におけるユースケース創出と認知拡大に向けた動きを加速させています。さらに、次世代の自律型ドローンや高度な解析ソフトウェアの開発など、技術革新への継続的な投資も成長を支える重要な要素です。

リスク

ドローン事業特有のリスクとして、機体の墜落による事故が発生した際の社会的信用の失墜や、規制強化による市場成長の鈍化が挙げられます。同社は「IBIS」を小型・軽量に設計することで人への影響を最小限に抑えていますが、万全の体制での管理が求められる状況にあります。また、インフラDX分野における技術革新のスピードが速く、より高度な3Dスキャニング技術等の出現により競争環境が変化する可能性も存在します。

さらに、研究開発や事業展開において国からの補助金・助成金を活用しているため、これらの受領に関する不確実性も経営上の留意点となります。同社はこれらに対し、リスク・コンプライアンス委員会を設置し、技術の高度化とノウハウの蓄積を通じて参入障壁の構築を図っています。

競合

同社の競争優位性は、ハードウェアとソフトウェアの両面における高い技術力と、それらを統合した一気通貫のサービス提供にあります。特に「IBIS」は長年の実証実験を経て開発されており、特殊な環境下での画像処理に関する独自のアルゴリズムを確立しています。インフラDX市場やドローン市場は未成熟で変化が激しいものの、同社は高度なノウハウに基づく参入障壁の構築を進めています。

競合他社の出現や新たな付加価値サービスの提供による価格競争の激化リスクに対し、独自の技術基盤による差別化を図る方針です。特に「狭く、暗く、危険な」環境に特化したソリューションは、汎用的なドローンサービスとの明確な差別化要因となっています。

バリュエーション

同社の株価は2025年12月30日時点で1,244円となっており、市場における評価を反映しています。時価総額は約159.3億円であり、成長期待の大きいインフラDX分野でのポジションを反映した規模となっています。株価に対する株主資本比率はPBRで換算すると32.64倍と非常に高い水準にあります。

同社は研究開発への積極的な投資を行っており、将来の技術革新に向けた先行投資が評価の背景にあると考えられます。現在の市場データに基づくと、独自の技術基盤と特定のニッチなインフラ課題への特化によるプレミアムが付与されている状況です。