事業モデル
同社は「バリアバリュー」を理念に、障害者が直面する社会的障壁を取り除くためのインフラおよびソリューションを提供しています。主な柱は、デジタル障害者手帳「ミライロID」による利便性の向上と、企業や自治体向けのコンサルティングを含む「バリアバリューソリューション」の提供です。
「ミライロID」はスマートフォンで障害者手帳の提示を可能にするインフラとして機能し、2025年9月30日時点で4,214事業者が導入しています。また、企業向けには、法改正に伴う合理的配慮への対応や、専門人材を活用した研修・コンサルティングを提供することで収益化を図る構造です。
KPI
デジタル障害者手帳「ミライロID」の普及状況が重要な指標となっており、2025年9月30日時点でユーザー数は55.2万人に達しています。アクティブユーザー数は月間20.8万人と増加傾向にあり、認知度の向上と利用拠点の拡大が進んでいます。
また、ソリューション事業の成長を示す指標として、ユニバーサルマナー検定の認定者数は30.8万人に達しており、前年度比で大幅な増加を記録しています。さらに「ミライロストア」では、2025年9月30日時点で76のセラーと657のアイテムを掲載し、流通取引総額の拡大を目指しています。
成長ドライバー
2024年4月の障害者差別解消法改正による「合理的配慮」の義務化が、企業や自治体からのソリューション需要を押し上げる強力な追い風となっています。この法的背景により、これまでアプローチが困難であった層との接点が創出され、事業拡大の機会が増加しています。
また、大阪・関西万博での「ミライロID」採用や、多様な機能(通知、クーポン、マップ等)の拡充、他システムとのAPI連携によるサービス開発も成長を牽引します。これらの施策により、ユーザーの利便性向上と企業の課題解決の両面から価値を創出しています。
リスク
事業環境においては、障害者関連の法規制や動向の変化が事業展開に影響を及ぼす可能性があり、特に法的義務の変更は重要な要素となります。また、参入障壁が比較的低いソリューション分野では、競合企業の増加による競争激化が懸念される要因です。
運営面では、個人情報の取り扱いに関するセキュリティリスクや、システム障害による信頼失墜のリスクが存在します。特に機密情報を扱う事業特性上、情報管理体制の不備はブランド価値を損なう可能性があるため、厳格な管理体制の維持が求められます。
競合
「ミライロID」に関しては、マイナポータルとの連携による高い信頼性を武器としており、現状では同等の代替アプリが存在しない独自の立ち位置を確保しています。しかし、参入障壁の低いソリューション事業においては、競合企業の参入による競争激化のリスクが想定されています。
これに対し同社は、専門人材の育成や独自技術・ノウハウの蓄積、および「ミライロID」との強固な連携を軸とした差別化戦略を展開しています。多様なソリューションを組み合わせた提案を行うことで、競合に対する優位性の構築を図っています。
バリュエーション
2025年9月30日時点のデータに基づくと、同社の売上高は832,291千円(前事業年度比17.3%増)に達しています。営業利益も142,125千円(同21.6%増)と伸長しており、事業の成長性が示唆されます。
一方で当期純利益は81,472千円となっており、前事業年度と比較して減少しています。財務面では、新株予約権の行使や上場に伴う資金調達により、流動資産および純資産が大幅に増加しており、強固な財務基盤を構築している状況です。
