事業モデル

同社は燃料油、基礎化学品、高機能材、電力・再生可能エネルギー、資源の5つの主要セグメントを展開し、多角的な事業ポートフォリオを構築しています。特に燃料油セグメントは、石油製品の製造・販売を通じて社会的な重要性を担う基盤事業として位置付けられています。

一方で、高機能材や基礎化学品といった素材分野では、独自の技術力を活用した付加価値の高い製品提供を行っています。また、電力および再生可能エネルギー分野においても、安定供給と次世代のエネルギーへの対応を両立する体制を整えています。

KPI

当連結会計年度における売上高は、燃料油価格の下落等の影響を受けながらも8兆1,059億円を計上しました。営業利益は、資源セグメントでの下押し要因を燃料油セグメントのプラスのタイムラグ影響が上回ったことにより、2,122億円(前期比30.8%増)となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期比で65.2%増の1,719億円に達しています。これらの業績は、原油価格や為替といった外部環境の変動を織り込んだ上で、各事業セグメントの強靭な運営によって支えられています。

成長ドライバー

中期経営計画では「GRIT」「GROWTH」「CNX」の3つの柱を掲げ、既存事業の深化と成長領域への挑戦を推進しています。特に高機能材分野では、潤滑油の海外販売好調や新規連結会社の寄与により、前年比18.5%増の334億円のセグメント利益を確保しました。

また、カーボンニュートラルに向けたSAF(持続可能な航空燃料)やe-fuelの開発、リチウム固体電解質の検討など、次世代技術への投資も加速しています。これらの取り組みにより、2030年度に向けたROE13%、ROIC7%の達成を目指すとともに、企業価値の向上を図っています。

リスク

地政学リスクの高まりによる原油調達や物流の不安定化は、石油産業を主たる事業とする同社にとって極めて重要な経営上のリスクです。特に中東情勢やホルムズ海峡の状況は、エネルギー価格やサプライチェーンに直接的な影響を及ぼす可能性があります。

また、原材料となる原油やナフサの価格変動、および為替相場の動向も収益に大きな影響を与えます。燃料油セグメントでは、原油価格が1ドル変動するごとに年間で約80億円の利益増減が生じる可能性があるなど、外部環境への感応度が高い構造となっています。

競合

基礎化学品市場においては、アジアを中心に経済成長に伴う需要拡大が見込まれる一方で、中国を中心とした大型プラントの新増設による供給過多のリスクが存在します。同社はこうした激しい競争環境の中で、製品の差別化と安定的な供給体制の構築に取り組んでいます。

高機能材分野においても、潤滑油や樹脂加工製品などの市場において競合他社との競争が続いています。同社は独自の技術力を背景とした高品質な製品開発を進めることで、競争優位性の確保と顧客ニーズへの対応を両立する戦略をとっています。

バリュエーション

2026年8月10日時点の株価は1,294.5円となっており、同日の市場データに基づくPERは9.41倍です。また、同日のPBRは0.84倍と算出されています。

投資家向けの指標として、同日時点の配当利回りは2.73%を記録しています。これらの数値は、安定した事業基盤と将来の成長への期待が反映された現在の市場評価を示しています。