事業モデル

同社は半導体製造の前工程において、特に「成膜」と「熱処理」のプロセスに特化した装置の開発・製造・販売および保守サービスを展開しています。主力製品であるバッチ成膜装置は、高生産性を追求したラージバッチと、高度な品質を追求するミニバッチの2つのプラットフォームで構成されています。

これらの装置は、デバイス構造の複雑化に伴う課題解決のために不可欠な技術を提供しており、特にALD(原子層堆積)技術とバッチ処理を組み合わせた独自の強みを有しています。また、枚葉プラズマトリートメント装置においても高い技術力を有し、顧客の要求に応えるための高度なプロセス提供を行っています。

KPI

同社は2026年3月期の連結売上収益として2,351億円を計上しており、前年度比でわずかな減収となりました。一方で、営業利益は418億円(前年同期比18.5%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は301億円(同16.4%減)となっており、投資や製品構成の変化が影響しています。

受注実績については、当連結会計年度において約806億円の受注を獲得しており、良好な受注残高を確保しています。また、主要顧客であるSamsung ElectronicsやTaiwan Semiconductor Manufacturingなど、特定の大手企業との取引を通じて安定した事業基盤を構築しています。

成長ドライバー

成長の主な原動力は、生成AIの普及に伴う高性能DRAMやLogicデバイス向けの設備投資の拡大にあります。特に2025年以降、先端半導体向けへの需要が本格的に回復し、技術革新の加速によってさらなる成長が見込まれています。

また、同社はバッチALD技術において世界シェア1位を獲得しており、このコア技術を基盤とした高付加価値製品の展開に注力しています。さらに、メンテナンスや部品供給を含むサービス事業の拡充や、DXを活用した生産効率の向上も将来の成長に向けた重要な戦略となっています。

リスク

マクロ経済環境における地政学的リスクや、半導体デバイスの需要変動による市場の不安定さが主なリスク要因として挙げられています。特に米中貿易摩擦に伴う輸出規制の強化は、販売機会の変化やコスト上昇に直結する可能性があるため、同社はポートフォリオの最適化を進めています。

また、半導体製造装置の特性上、一度特定のメーカーを選択した顧客が他社へ乗り換えることが困難なため、新規顧客の獲得競争も重要な要素となります。さらに、サプライチェーンにおける調達・生産の不安定さや、技術革新のスピードに追いつくための継続的な研究開発投資の必要性も経営上の課題です。

競合

同社は成膜工程におけるバッチALD装置において2025年の売上高世界シェア1位を獲得しており、非常に強固な競争優位性を有しています。また、プラズマトリートメント装置においても同様に世界シェア1位を誇り、特定の技術領域で圧倒的な地位を築いています。

競合他社との差別化要因は、高度な成膜と高生産性を両立させる独自のバッチALD技術にあります。デバイスの微細化・多層化が進む中で、同社の提供する高品質なプロセス技術は、顧客にとって代替困難な価値を提供していると考えられます。

バリュエーション

2026年8月13日時点の市場データにおいて、同社の株価は9,015円となっており、時価総額は約18988.1億円です。この時点でのPER(株価収益率)は63.29倍、PBR(株価純資産倍率)は8.67倍と算出されています。

また、同日のデータに基づく配当利回りは0.80%となっています。これらの指標は、同社が持つ高度な技術力や市場シェアに対する期待を反映した水準となっており、投資家にとっての評価材料となります。