事業モデル

同社は「Solution SoC」という独自モデルのもと、顧客と共に仕様策定や論理設計を行うカスタムSoCの開発・提供を行っています。従来のASICやASSPと比較して、上流工程から参画することで高度な技術を組み合わせた最適なソリューションを提供可能です。

このモデルにより、高度な設計能力を持たない顧客へのアプローチが可能となり、ベンダーロックインの回避と先端技術の活用を両立しています。また、研究開発体制をフラット化し、グローバルリーディンググループを通じて開発基盤の構築や効率化を進めています。

KPI

当連結会計年度の売上高は200,834百万円となり、前連結会計年度比で6.5%増加しました。このうち製品売上は161,792百万円(同10.4%増)、設計開発の費用を段階的に受領するNRE売上は38,325百万円となりました。

一方で、新製品の量産開始に伴う原価率の上昇により、売上高総利益は前年比13.6%減の89,777百万円となっています。営業利益は12,354百万円(同50.6%減)となり、当期純利益は8,733百万円と、前連結会計年度と比較して減少する結果となりました。

成長ドライバー

構造改革の推進により、オートモーティブやデータセンター、ネットワークといった成長分野において大型商談を獲得しています。2025年3月期の年間商談獲得見込額は3,600億円に達しており、量産に向けた段階的な展開が進んでいます。

特にAI処理などのシステム実装を担うエンジニアリングチームの強化や、先端チップレット開発プラットフォームの構築など、次世代技術への投資を継続しています。これらの先行開発と実際の製品開発を循環させることで、将来の商談獲得に向けた強固な基盤を構築しています。

リスク

ファブレス企業として製造を外部委託しているため、特定の製造委託先に対する依存や、供給能力の制約がリスクとなります。特に先端技術や車載品など品質要求の高い製品は委託先が限定されるため、地政学的要因や需要急増による供給遅延のリスクが存在します。

また、設計・開発期間が2年以上と長期に及ぶため、プロジェクトの途中で顧客の戦略変更等により中止となった場合、NRE売上の未達や損失が生じる可能性があります。さらに、製造委託先での歩留まり低下や製品欠陥が発生した際、代替拠点の確保が困難な場合に深刻な影響を及ぼす懸念があります。

競合

半導体業界の高度化に伴い、単一の技術だけでなく複数の先端技術を組み合わせて最適なSoCを設計する難易度が上昇しています。同社は、ハードウェアからソフトウェアまで統合的に対応できるエンジニアリソースと量産・品質保証の総合力を強みとしています。

競合環境においては、高度なカスタマイズ要求を持つ顧客に対し、独自のソリューションを提供できるパートナーとしての地位を確立しようとしています。特に先端技術分野での共同開発や、グローバル企業との連携強化を通じて競争力の維持を図っています。

バリュエーション

2026年8月13日時点の株価は1,991.5円であり、同日の時価総額は約3472.5億円となっています。この時点でのPERは40.00倍、PBRは2.70倍と算出されています。

また、同日時点の配当利回りは2.52%となっており、投資家に対して一定の還元姿勢を示しています。これらの指標は、先端技術への積極的な先行投資と成長期待を反映した水準となっています。