事業モデル

同社は「プリンティングソリューションズ」「ビジュアルコミュニケーション」「マニュファクチャリング関連・ウエアラブル」の3つの主要事業を展開しています。独自のマイクロピエゾ技術やドライファイバーテクノロジー、マイクロディスプレイ技術などの強みを活かし、製品開発から製造、販売までをグローバルに展開する体制を構築しています。

プリンティングソリューションズ事業は、オフィス・ホーム向けおよび商業・産業向けのインクジェットプリンターや関連消耗品を取り扱う主力の柱です。ビジュアルコミュニケーション事業では、独自の技術を用いたプロジェクターやスマートグラスの開発・販売を行っています。マニュファクチャリング関連・ウエアラブル事業では、製造装置やマイクロデバイスなどの高度な技術を要する製品を提供しています。

KPI

当連結会計年度の売上収益は1兆4,133億円に達し、前年比3.7%の増収となりました。一方で、のれんの減損損失計上やコスト上昇の影響を受け、事業利益は838億円(同6.5%減)、営業利益は496億円(同34.0%減)と、利益面では厳しい環境下での推移となりました。

研究開発費については、当連結会計年度で468億円を投じており、これは売上収益の3.3%に相当します。この投資は、プリンティングソリューションズ事業(227億円)、ビジュアルコミュニケーション事業(73億円)、マニュファクチャリング関連・ウエアラブル事業(47億円)といった各セグメントへ配分されています。

成長ドライバー

新長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」のもと、成長領域への資源集中投下を加速させる方針です。特にマニュファクチャリングソリューションズ事業やマイクロデバイス事業では、需要の拡大や技術力の向上により、大幅な増益や売上の伸長が見られるなど、将来に向けた強固な基盤構築が進んでいます。

また、研究開発体制を3つの専門的な開発センターへ再編することで、技術の強みの最大化と社会実装のスピードアップを図っています。2028年度までにROIC 8.0%の達成を目指すなど、資本効率の改善と成長領域への投資を両立させることで企業価値の向上を目指しています。

リスク

プリンティングソリューションズ事業は連結売上収益の約7割を占めており、同セグメントにおける製品や消耗品の需要変動が経営成績に直結する構造となっています。特に、特定の市場環境の変化による販売数量の減少や、競合他社との価格競争の激化がリスク要因として挙げられています。

技術面においては、インクジェットプリンターにおけるマイクロピエゾ方式と他社のサーマルインクジェット方式、プロジェクターにおける3LCD方式とDLP方式など、競合する技術との比較において優位性が揺らぐ可能性も考慮されています。また、地政学的リスクや各国の通商政策の動向といった不透明な外部環境が、事業展開に影響を及ぼす可能性があることも認識されています。

競合

同社は独自のマイクロピエゾ技術や3LCDなどの独自技術により、競合他社の技術に対する競争優位性を保持していると判断しています。しかしながら、市場における低価格品への需要シフトや、革新的な代替技術の出現によって、その優位性が損なわれるリスクも常に存在します。

これらの課題に対し、同社は顧客ニーズに即した高付加価値製品の開発や、設計・開発の効率化によるコスト削減に取り組んでいます。競合他社の技術との比較において、自社の強みを最大化するための研究開発体制の再編と、事業戦略と開発の方向性を一致させる取り組みを強化しています。

バリュエーション

2026年8月13日時点の市場データに基づくと、同社の株価は3,157円となっています。この時点での時価総額は約10173.6億円であり、PERは55.87倍と算出されています。

また、同日のデータにおけるPBRは1.18倍となっており、配当利回りは2.52%を記録しています。これらの数値は、同社の事業基盤と将来の成長戦略に対する市場の評価を反映する指標となります。