事業モデル

同社は、産総研から技術を移転した独自の気相合成法を用いて、高品質なダイヤモンド単結晶を製造・販売しています。この技術により、直接板状の単結晶を製造できるため、他手法や競合他社と比較して大型で良質な製品を提供できる優位性を有しています。

事業は大きく分けて、宝石向けの「種結晶」と、電子材料や精密加工用などの工業用材料の二軸で構成されています。特に種結晶は、ラボグローンダイヤモンドのサプライチェーンにおいて最上流のポジションを占めており、世界的な市場拡大の恩恵を受けています。

KPI

同社の主要な事業領域の一つである種結晶については、当連結会計年度の売上高に占める割合が22.7%となっています。一方で、基板やウエハに関連する分野では、特定の大口ユーザーへの依存度が依然として高い状況にあります。

しかしながら、基盤・ウエハ関連の製品は、販売先となるユーザー数が次第に増加傾向にあり、将来的な売上の分散が期待されています。また、研究開発活動を通じて1インチウエハの量産体制確立や大型モザイク結晶の開発など、技術的課題の克服と生産性の向上が進んでいます。

成長ドライバー

成長の大きな柱の一つは、ラボグローンダイヤモンド市場の拡大です。この市場は今後10年間で年率13%以上の成長が見込まれており、特に欧米では天然ダイヤモンドに代わる選択肢として認知が急速に進んでいます。

もう一つの成長エンジンは、パワーデバイスや量子センサーといった次世代半導体分野への展開です。同社は2026年5月に53x53mmのモザイク結晶の開発に成功しており、これを用いた2インチウエハを2027年3月期下期から販売する計画を進めています。

リスク

事業構造上、特定の重要顧客に対する売上依存度が依然として高いことがリスク要因となります。特に基板・ウエハ分野では第1位のユーザーが売上の27.3%を占めており、当該企業の動向が経営成績に直接的な影響を与える可能性があります。

また、技術の根幹となる知的財産権は産総研との契約に基づいた独占的通常実施権によって保護されています。この許諾期間が2026年10月31日に満了するため、次期に向けた更新交渉や、万が一他社への非独占的権利付与が行われた際の競争環境の変化に対する注視が必要です。

競合

同社の強みは、気相合成法を用いることで競合他社よりも大型で良質な単結晶を直接製造できる点にあります。この技術的優位性は、宝石分野だけでなく、高度な品質が求められる電子材料や精密加工工具の分野においても競争力の源泉となっています。

特にダイヤモンドデバイス分野では、他の材料と比較して理論的に優れた特性を持つため、将来的な優位性が期待されています。同社は本田技術研究所との共同研究合意など、戦略的な提携を通じて、競合他社に対する技術的・市場的な優位性の確保を図っています。

バリュエーション

2026年8月14日時点の株価は946円となっており、同日の時価総額は約137.1億円です。この時点での指標として、PBRは7.78倍を記録しています。

投資判断にあたっては、これらの市場データに加え、独自の製造技術に基づく参入障壁の高さや、次世代デバイス分野における開発ロードマップの進捗状況を考慮する必要があります。