事業モデル
同社は、静止軌道衛星を活用した広域・高信頼な通信サービスを提供する「宇宙事業」と、多チャンネル放送や映像関連サービスを展開する「メディア事業」の二本柱で構成されています。宇宙事業では、政府や企業向けに通信サービスを提供するほか、衛星データから価値を抽出するスペースインテリジェンス事業を展開しています。
メディア事業では、独自の放送プラットフォームを提供するとともに、光ファイバー網を活用した再送信サービスや、法人向けの映像関連サービスを提供するメディアソリューションを展開しています。両事業において、独自の衛星資産と技術力を活用した多角的なサービス提供を行っています。
KPI
当連結会計年度において、宇宙事業における国内衛星通信分野で31億円、スペースインテリジェンス事業で26億円の増収を計上しました。一方で、メディア事業では視聴料等の減少が見られたものの、オペレーションの最適化により営業費用を39億円削減することに成功しています。
これらの要因が重なり、営業利益、経常利益、税金等調整前当期純利益、親会社株主に帰属する当期純利益のすべてにおいて増益を達成しました。また、EBITDAは前期比で50億円増加し、507億円を記録しています。
成長ドライバー
宇宙事業においては、2025年8月にルクセンブルクの企業と航空機内通信サービスの提供に関する契約を締結し、移動体分野の需要拡大に対応しています。また、2025年11月にはSpaceXとの間で新衛星の打ち上げサービス契約を締結し、2027年からの順次運用による競争力強化を見込んでいます。
成長の柱となるスペースインテリジェンス事業では、防衛省の「衛星コンステレーションの整備・運営等事業」を受注し、2026年2月には関連する事業契約を締結しています。さらに、衛星量子鍵配送や光データリレーなど、次世代の通信技術を活用した新領域の開語にも積極的に取り組んでいます。
リスク
宇宙事業においては、低軌道衛星コンステレーションの台頭による競争環境の激化や、衛星・地上設備の調達における納期・性能・コストの不確実性が重大なリスクとして特定されています。特に、調達の遅延や失敗は、サービス提供の停止や収益の低下に直結する可能性があります。
これらのリスクに対し、同社は予備衛星の確保や代替品の先行発注、多層的な通信ネットワークの構築といった対策を講じています。また、メディア事業においては、動画配信サービスとのコンテンツ獲得競争や、厳しい市場環境下での顧客獲得競争への対応が課題となっています。
競合
宇宙事業の分野では、世界規模で衛星産業が拡大する一方で、新興事業者の参入による競争の激化が進行しています。同社は、既存顧客との長期契約の推進や、政府主導の安全保障領域への参画を通じて、独自の強みを持つ領域での競争優位性の確立を目指しています。
メディア事業においては、動画配信サービスとの競争が続く一方で、スポーツや音楽といったライブコンテンツの需要は堅調に推移しています。同社は、独自の放送技術や資産を活用した「Multi-Alliance戦略」を展開し、パートナー企業との協業を通じて市場での地位を維持する方針です。
バリュエーション
2026年8月19日時点の市場データにおいて、同社の株価は2,220円、時価総額は約6664.8億円となっています。この時点でのPERは28.57倍、PBRは2.18倍と算出されています。
同社の配当利回りは2.04%となっており、投資家に対して一定の還元姿勢を示しています。これらの指標は、同社が推進する宇宙事業の成長性と、メディア事業の安定性を反映した評価となっています。
