事業モデル

Victoria’s Secret & Co.は、女性向けインナーウェアやアパレル、ビューティー製品を世界展開する専門小売企業です。ブラジャーやパンティ、ランジェリー、カジュアルな寝巻き、スポーツウェア、水着、高級フレグランス、ボディケア製品などを、Victoria’s Secret、PINK、Adore Meの各ブランドで提供しています。販売チャネルは実店舗に加え、VictoriasSecret.comやPINK.com、AdoreMe.com、DailyLook.comなどのウェブサイト、その他のデジタルチャネルを通じて消費者に直接販売するほか、フランチャイズやライセンス、卸売り契約による店舗運営も行っています。

同社は2021年に設立され、オハイオ州レイノルズバーグに本社を置き、従業員数は約3万人です。直近の会計年度(FY2026)の売上高は65.5億ドルで、前年比5.2%増となりました。収益構造は、実店舗とECを中心とした小売販売が主体で、商品カテゴリーは多岐にわたりますが、特にインナーウェアとビューティー製品が中核です。

KPI

直近会計年度(FY2026)の売上高は65.5億ドル、営業利益率は4.1%、自己資本利益率(ROE)は18.8%でした。売上高は前年比で5.2%増加しましたが、純利益は前年比で2.4%減少しています。前期(FY2025)の売上高は62.3億ドル、営業利益率は5.0%、ROEは25.8%であり、売上高は増加したものの、利益率とROEは低下しました。

さらに、その前の期(FY2024)の売上高は61.8億ドル、営業利益率は4.0%、ROEは26.1%でした。この3年間で売上高は一貫して増加していますが、営業利益率は4%台から5%の間で推移しており、ROEは26%から18.8%へと低下傾向にあります。現金及び現金同等物は2.1億ドルを保有しています。

業績推移

売上高の推移(通期・直近3期)。FY2024 61.8億ドル、FY2025 62.3億ドル、FY2026 65.5億ドル。3.7億ドルの増加

売上高の推移(通期・直近3期)。出典は kabu-insight(yfinance 由来)の通期実績で、古い期から新しい期の順に並べた。

FY2024の売上高は61.8億ドル。
FY2025の売上高は62.3億ドル。
FY2026の売上高は65.5億ドル。

成長ドライバー

成長の主な原動力は、デジタルチャネルの拡大と国際展開です。同社は自社ウェブサイトやオンラインブランド(Adore Meなど)を通じて、直接消費者に販売するモデルを強化しており、これが売上増加に寄与しているとみられます。また、フランチャイズやライセンス契約による海外展開も成長戦略の一つであり、世界中でのブランド認知度向上が期待されます。

さらに、PINKブランドは若年層向けに、Adore Meはサブスクリプション型の下着サービスで知られ、それぞれ異なる顧客セグメントを開拓しています。直近年度の売上高成長率は5.2%と堅調で、今後もデジタルと国際市場でのシェア拡大が成長を牽引する可能性があります。ただし、純利益は減少しており、コスト管理や収益性の改善が課題です。

リスク

主なリスクとして、アパレル小売業界の競争激化が挙げられます。オンライン専業ブランドや他社の低価格競争により、価格圧力が生じる可能性があります。また、消費者嗜好の変化や景気後退時には、 discretionary spending(裁量支出)の減少により売上が影響を受けるリスクがあります。

さらに、同社はオハイオ州に本社を置き、世界中に店舗を展開していますが、サプライチェーンの混乱や地政学的リスク、為替変動も業績に影響を与え得ます。直近年度の純利益減少は、コスト増加や投資拡大が原因とみられ、収益性の改善が急務です。また、配当は実施しておらず、株主還元策が限定的である点も投資上のリスクです。

競合

競争環境としては、アパレル小売業界には多くの競合が存在します。特に、インナーウェア市場では、オンライン専業の新興ブランドや、低価格帯の量販店、高級ブランドなどが競合となります。同社はVictoria’s Secret、PINK、Adore Meという複数ブランドを保有し、幅広い価格帯と顧客層に対応していますが、競争は激化しています。

また、EC市場では、Amazonなどの大手プラットフォームや、DTC(Direct-to-Consumer)モデルを採用する新興企業との競争も激しいです。同社は自社ECサイトを強化し、ブランド体験を提供することで差別化を図っていますが、競合他社も同様の戦略を取っており、継続的な投資が必要です。

バリュエーション

最新の市場データによると、株価は85.455ドル(2026年9月1日時点)、時価総額は約69.8億ドルです。PERは35.00倍、PBRは8.79倍となっています。これらの指標は、市場が同社の将来成長に期待を寄せていることを示していますが、収益性の低下を考慮すると、やや割高感があるとも解釈できます。

同社は無配であり、株主還元は株価上昇に依存しています。今後の業績次第では、バリュエーションが調整される可能性があります。売上高は成長しているものの、利益率とROEの低下傾向が続くようであれば、現在のPER水準は持続可能ではないかもしれません。投資判断にあたっては、成長性と収益性のバランスを注視する必要があります。