Veritas In Silico
Performance
株価チャート
業績・財務
業績・財務
| 売上高 | 9,114万円 |
| 営業利益 | -4億円 |
| 純利益 | -4億円 |
| 営業利益率 | -435.3% |
| ROE | -23.9% |
| ROA | -22.6% |
| 自己資本比率 | 94.6% |
| 総資産 | 19億円 |
| 純資産 | 18億円 |
業績推移
売上・利益の推移
ROE・ROA の推移
詳細指標
詳細指標
| ROIC | — |
| ROE | — |
| ROA | — |
| FCFマージン | — |
| 粗利益率 | — |
| 営業利益率 | — |
| 営業CFマージン | — |
| 配当性向 | — |
| 配当成長率(3年) | — |
| Net Debt/EBITDA | — |
| 実効税率 | — |
| 自社株買い傾向 | — |
バランスシート
バランスシート
| ネットキャッシュ | 17億円 |
| NC比率 | 61.8% |
| 流動資産 | 19億円 |
| 有価証券 | — |
| 現金 | 18億円 |
| 負債総額 | 1億円 |
| 時価総額(BS時点) | 28億円 |
企業レポート分析
ビジネスモデル
株式会社Veritas In Silico(証券コード:130A)は、インシリコ(計算科学)技術を基盤としてmRNA(メッセンジャーRNA)を創薬標的とする低分子医薬品および核酸医薬品のプラットフォーム事業を展開する創薬ベンチャーである。同社の中核技術は、「ibVIS®」(アイビス)と呼ばれる創薬プラットフォームで、インシリコ技術(Informatics)と生物学的実験技術(Biology)を融合させてmRNAの構造を解析し、mRNA上の部分構造(標的部位)に作用する医薬品を設計・創出する。2024年以降はAI技術を取り込み「aibVIS(エイアイビス)」へと進化し、AISLAR(AI-augmented Iterative Screening Libraries Against RNA targets)と呼ぶ機械学習ベースのスクリーニング手法を実用化、全ライブラリーの約20%のスクリーニングで全網羅した場合の半数以上のヒット化合物を取得できる効率化を実現した。 ビジネスモデルは主に「プラットフォーム事業」として製薬会社との共同創薬研究・ライセンス契約を締結しマイルストーン収入を得る形態が中心であり、東レ、塩野義製薬、ラクオリア創薬、武田薬品、興和、旭化成ファーマ、帝人ファーマ、日産化学、三菱ガス化学など国内大手製薬・化学企業と複数の契約を締結している。また、英国Liverpool ChiroChem社やスイスのSpiroChem社との国際契約を通じてグローバル展開も図っており、CDROや独自パイプラインの自社開発にも取り組んでいる。2016年11月設立、2024年2月に東証グロース市場に上場(コード番号130A)。 本社は東京都品川区、従業員数は19名(2025年12月末現在)とコンパクトな研究開発型企業である。
主要KPI
2025年12月期の事業収益は9,114万円(前期比53.2%減)となり、2024年12月期の1億9,464万円から大幅に減少した。この収益減少は主に共同研究契約数の減少・マイルストーン達成時期のズレに起因している。営業損失は3億9,600万円(前期は2億1,285万円の損失)、経常損失は3億9,000万円、当期純損失は4億2,500万円と赤字幅が拡大した。2026年12月期の業績予想は事業収益非開示・営業損失5億6,900万円・経常損失5億6,400万円・純損失5億6,700万円とさらなる赤字拡大見込みである。 財務面では自己資本比率94.6%(2025年12月末)と極めて健全で、純資産17億8,300万円を維持している。現金等は2025年12月末で3億2,521万円(前期末比87.6%増)となっている。過去最高収益を記録した2023年12月期は事業収益3億6,035万円・営業利益3,762万円(黒字転換)・営業利益率10.44%を達成した。時価総額は2026年3月時点で約30億円と小型株である。 2024年12月期に20億円を超える投資(主に有価証券等の金融商品取得)を実行したが2025年12月期には4億5,100万円の投資回収を行い現金を確保した。配当は無配を継続しており、研究開発投資を優先する方針である。
成長ドライバー
最大の成長ドライバーは、従来のタンパク質標的創薬では「Undruggable(創薬不可能)」とされてきた疾患をmRNAを標的とすることで「Druggable(創薬可能)」にする独自技術の優位性である。mRNAには細胞内に数万種類が存在し、既知タンパク質の数倍以上の創薬標的候補があることから、市場ポテンシャルは極めて大きい。第二の成長ドライバーは製薬会社との共同創薬研究の拡大とマイルストーン収入の積み上げで、2025年5月には塩野義製薬との共同研究でマイルストーンを達成し、2024年6月には武田薬品との研究でもマイルストーンを達成した。 第三は自社パイプラインの構築で、2025年12月にmRNA標的核酸医薬品(ASO)の自社パイプライン特許を出願し、独自薬品の開発を本格化した。第四はDDS(ドラッグデリバリーシステム)「Perfusio」の開発で、2025年12月に特許が査定・権利化され、核酸医薬の体内デリバリー課題の克服に向けた進展があった。第五はAI技術の高度化で、aibVISプラットフォームへの進化によりスクリーニング効率が大幅に向上し、創薬スピードと成功確率の向上が見込まれる。 さらに2025年以降は島根大学(肺移植後機能不全)・東京慈恵会医科大学(ALS)との共同研究を開始し、適応疾患領域を拡大している。
リスク
最大のリスクは売上収益の大幅な変動性・不確実性で、共同研究からのマイルストーン収入はフェーズ進展に依存するため、年度ごとの収益が極めて不安定である。2025年12月期の売上は前期比53%減と急落しており、パートナー企業のプロジェクト優先度変更や研究遅延が直接的な業績悪化につながるリスクがある。第二のリスクは研究開発の不成功リスクで、mRNA標的創薬は技術的難度が高く臨床開発まで至らない可能性があり、自社パイプラインが候補化合物段階にとどまっている。 第三は競合リスクで、欧米ではAravis Pharmaceuticals、Ribometrix、Accent TherapeuticsなどRNA標的低分子創薬の競合企業が資金力を背景に台頭しており、技術面での競争激化が懸念される。第四は資金消耗リスクで、赤字が拡大する中で内部留保を取り崩しており、2026年12月期も約5億7,000万円の純損失が見込まれるため、現金残高3億円台では追加資金調達が必要になる可能性がある。第五は人材リスクで、従業員19名という極めて少人数の組織であり、主要研究者の離職が事業継続に重大な影響を及ぼす可能性がある。 また、有価証券報告書の事業等のリスクには、知的財産の保護・維持に係るリスク、規制環境の変化リスク、および第三者との共同研究が予期しない理由で終了するリスクも挙げられている。
競合
mRNA標的創薬という独自ニッチにおいてVeritas In Silicoの国内直接競合は限定的だが、グローバルでは欧米バイオテクとの競争が激しい。米国ではRibometrix(後にAbbVieが買収を検討したと報じられた)、Accent Therapeutics、Arrakis Therapeutics(現Accent)などがRNA標的小分子創薬を手掛けており、数百億円規模の資金調達を実現している。国内では核酸医薬全般ではステリック(4965)やBonac Corporationなどが存在するが、mRNA標的低分子という切り口での直接競合はほぼ皆無である。 製薬会社との協業という観点では、武田薬品、塩野義製薬などの共同研究先は同時に他の創薬ベンチャーとも提携しており、パートナー確保競争が間接的な競合となる。一方、同社のibVIS®/aibVISプラットフォームはmRNAの3次元構造解析と低分子スクリーニングを統合した点で独自性が高く、日本国内においては先行者優位を確立している。また、mRNA標的核酸医薬(ASO)分野では、旧来のGapmerシリーズに加えてsgASO(スモールガイドアンチセンス核酸)という独自アプローチを開発し、従来型ASOの半分以下の鎖長で効果が期待される差別化要因を持つ。 三菱ガス化学との協業では核酸医薬の製造方法の確立も進めており、製造技術面での参入障壁の形成も進んでいる。
バリュエーション
2026年3月時点の時価総額は約30億8,000万円(株価475円×発行済み株式数約649万株)で、PBRは1.73倍、EPS・PERは赤字のため算出不能である。純資産額17億8,300万円(BPS 274.99円)に対する株価プレミアムは約73%で、テクノロジー・創薬プラットフォームとしての将来成長期待が株価に織り込まれていると解釈できる。売上高に対する時価総額倍率(PSR)は2025年12月期売上9,100万円ベースで約34倍と非常に高く、現在の業績よりも技術価値・将来の大型マイルストーン達成に対する期待値で評価されている。 上場初日(2024年2月8日)の株価は3,475円を記録し、その後大幅に調整が進んでいる。2024年12月期高値は957円、2025年12月期安値は428円と推移し、赤字拡大に伴い株価は右肩下がりとなっている。比較対象として国内同様の創薬プラットフォーム型企業(Chordia Therapeutics、Trans Chromatin、ハートシードなど)と比較すると、VISの時価総額は最小クラスに属するため、将来的な大型マイルストーン達成や自社パイプライン臨床入りが実現すれば大幅な株価再評価が期待されるが、そのタイムラインは不透明である。 2026年12月期も赤字拡大見込みであり、当面はキャタリスト(触媒)となる重要マイルストーン達成・特許ライセンス契約の締結・新規共同研究契約の増加が株価評価の鍵を握っている。