エネルギーパワー
Performance
株価チャート
業績・財務
業績・財務
| 売上高 | 55億円 |
| 営業利益 | 6億円 |
| 純利益 | 5億円 |
| 営業利益率 | 11.7% |
| ROE | 64.6% |
| ROA | 7.7% |
| 自己資本比率 | 12.0% |
| 総資産 | 69億円 |
| 純資産 | 8億円 |
業績推移
売上・利益の推移
ROE・ROA の推移
詳細指標
詳細指標
| ROIC | — |
| ROE | — |
| ROA | — |
| FCFマージン | — |
| 粗利益率 | — |
| 営業利益率 | — |
| 営業CFマージン | — |
| 配当性向 | — |
| 配当成長率(3年) | — |
| Net Debt/EBITDA | — |
| 実効税率 | — |
| 自社株買い傾向 | — |
バランスシート
バランスシート
| ネットキャッシュ | -58億円 |
| NC比率 | -161.4% |
| 流動資産 | 35億円 |
| 有価証券 | — |
| 現金 | 4億円 |
| 負債総額 | 62億円 |
| 時価総額(BS時点) | 36億円 |
企業レポート分析
ビジネスモデル
エネルギーパワー株式会社は、大阪市中央区を本拠とし、2016年に関西エネルギーパワーとして創業した新電力(電力小売)事業者兼電気工事会社である。同社のビジネスモデルは大きく3つの柱で構成される。第一に、登録小売電気事業者(A0371)として主に法人・マンション向けに電力を供給する「電力小売事業」であり、JEPX(日本卸電力取引所)や非FIT太陽光から電源を調達し顧客に再販するスキームを採る。 第二に、電気工事業・管工事業・消防施設工事業・電気通信工事業を手がける「建設工事・設備改修事業」であり、受変電設備・空調設備・マンション共用設備の改修から省エネ工事・EV充電器設置まで幅広く対応する。第三に、2024年11月に公表した「系統用蓄電池事業」であり、兵庫朝来・丹波・和歌山・兵庫南あわじ・和歌山有田湯浅町の計5カ所のメガパワー蓄電所(商業運転は2025年12月〜2026年3月開始)を取得・運営し、再生可能エネルギーの需給調整市場から収益を得るモデルへと転換を進めている。2026年4月には各蓄電所の収支管理・リスクコントロールを徹底するため、蓄電池専業子会社を設立することを決議した。 代理店ネットワークを活用した低コスト顧客獲得と、自社発電資産への収益再投資を組み合わせた「エネルギーソリューションカンパニー」を標榜する経営モデルが特徴的である。
主要KPI
最重要KPIは売上高成長率と営業利益率であり、2026年8月期第2四半期(2025年9月〜2026年2月)の累計実績は売上高65億83百万円(前年同期21億34百万円比208.5%増)、営業利益15億6百万円(前年同期比690.2%増)、経常利益14億28百万円(同310.3%増)、中間純利益9億44百万円(同288.5%増)を記録しており、急激な業績拡大フェーズにある。財務安全性の観点では総資産79億95百万円に対し純資産17億82百万円(自己資本比率22.3%)と財務レバレッジが高く、設備取得に伴う有利子負債の管理が重要指標となる。電力小売事業では電力販売量(kWh)と顧客契約件数・解約率が収益予測の基礎となるが、同社は非公開のため外部からの詳細把握は困難である。 工事事業では受注残高と大型受注件数が重要であり、2024年8月〜2025年8月の1年間で少なくとも7〜8回の「大型受注に関するお知らせ」を開示しており、案件の継続的獲得が確認できる。系統用蓄電池事業では蓄電所の稼働率・需給調整市場での入札落札額が今後の主要KPIとなる見込みであり、2026年8月期通期の業績予想が売上高の急拡大を示しているならば、蓄電池収入の貢献度を見極める必要がある。1株当たり中間純利益は118.08円(前年同期30.40円)と大幅増益であり、ROEの改善傾向が顕著である。 配当は2025年8月期・2026年8月期ともに無配であり、成長投資への資金拠出を優先する方針をとっている。
成長ドライバー
成長の第一ドライバーは系統用蓄電池事業の立ち上げである。2024年11月に企業化を発表し、朝来・丹波メガパワー蓄電所は2025年12月、和歌山メガパワー蓄電所は2026年3月に商業運転を開始しており、今後残る兵庫南あわじ・有田湯浅町メガパワー蓄電所の稼働が加わることで電力需給調整市場からの安定的なキャッシュフローが見込まれる。この事業モデルは再エネ拡大に伴う系統安定化ニーズの高まりを受けており、政府が2030年に向けた再エネ比率目標(36〜38%)を掲げる中で中長期的な市場拡大が期待できる。 第二ドライバーは電力小売事業の代理店チャネル拡大であり、初期投資ゼロで代理店参入が可能なモデルにより営業力を外部化し低コストで顧客基盤を拡張できる構造となっている。第三ドライバーは大型電気工事・設備改修受注の増加であり、脱炭素化政策を背景とした省エネ補助金申請支援(代行コンサルティング)、EV充電設備設置工事、自家消費型太陽光発電設備設置工事などの旺盛な需要が追い風となっている。2024年8月から2025年8月にかけて定期的に「大型受注」を開示していることはパイプラインの厚さを示す。 第四ドライバーとして、電気工事業の特別建設業許可(特-6号)を2024年5月に取得したことにより、元請として3,000万円超(建築工事以外)の大規模工事を直接受注できる体制が整い、受注単価・収益性の向上が期待される。
リスク
最大のリスクは電力市場の価格変動リスクであり、同社はJEPXやスポット市場から電源を調達して小売販売するため、卸電力価格の急騰時に逆ザヤが生じうる。2011年の電力自由化以降、日本の新電力業界では燃料費高騰・ウクライナ危機等を背景に多数の小売電気事業者が廃業しており、当社も同様のリスクにさらされている。燃料費等調整単価を毎月改定することでリスクを顧客に転嫁する仕組みを持つが、大口顧客との契約条件次第では吸収しきれない可能性がある。第二のリスクは有利子負債の増加であり、系統用蓄電池の取得には大規模な設備投資を要し、資金借入に関するお知らせが頻繁に開示されていることから財務レバレッジが高止まりしている。 2026年8月期中間時点で自己資本比率22.3%と低水準にあり、金利上昇局面での支払利息増加が業績を圧迫しうる。第三のリスクは規制・許認可リスクであり、登録小売電気事業者資格の維持・系統用蓄電池の系統連系承認・需給調整市場のルール改定等が事業遂行に直接影響する。特に2024年6月には菖蒲北部太陽光発電所で電気ケーブルの盗難被害が発生しており、実物資産管理リスクも実在する。第四に競合激化リスクとして、新電力市場では大手電力会社・ガス会社・通信会社等が参入しており価格競争が激しい。 第五に顧客集中・解約リスクがあり、法人顧客向けに特化しているため大口顧客の離反が業績に大きな影響を与えうる。非連結の単体経営であるため、リスク分散機能が限定的な点も注意が必要である。
競合
新電力(電力小売)市場には2026年時点で全国に数百社が登録しており、エネット(NTTグループ)、楽天エナジー、Looopでんき、ハルエネ、テプコカスタマーサービス等の大手・中堅事業者と競合する。当社の差別化ポイントは、電力小売と電気工事・省エネ提案をワンストップで提供できる点にある。 つまり顧客企業に対し、電気料金の切替提案(小売事業)と同時に設備改修・省エネ工事の提案(工事事業)を行うことで、顧客のランニングコスト削減を包括的に支援する「エネルギーソリューション」モデルを標榜しており、電力小売のみに特化した競合と一線を画している。電気工事業については、大阪・関西圏の地盤を持つ地域密着型の設備工事会社として、大手ゼネコンが受けないような中小規模のマンション・工場・ビルの設備改修において専門性を発揮している。 系統用蓄電池事業においては、国内では関西電力や九州電力等の大手、および再エネ系専業スタートアップが競合となりうるが、当社は小型・分散型の蓄電所を複数箇所取得するアプローチをとっており、特定大手との直接競合よりもニッチ市場での先行者優位を狙う戦略と見られる。資本規模では大手に劣るものの、関西圏での地域密着ネットワーク、補助金申請代行などの付加価値サービス、代理店を通じた低コスト顧客開拓モデルが競争上の強みとなっている。
バリュエーション
エネルギーパワー株式会社はTOKYO PRO Marketに2024年3月上場した小型成長株であり、同市場の特性上一般投資家の流動性は限定的である。2026年8月期中間(2025年9月〜2026年2月)業績ベースでは、売上高65億円・営業利益15億円・中間純利益9億円と、前年同期比で売上高約3倍・営業利益約8倍という驚異的な成長を示している。この業績急拡大の主要因は系統用蓄電池事業の商業運転開始であると推察され、今後残る蓄電所の稼働が加わることで通期ベースでも高成長が期待できる。 ただしバリュエーション評価に必要な株価・時価総額データはTPM市場の特性上公開情報からは把握困難であり、参考指標の1株純利益118.08円(中間のみ)は通期換算で200〜250円超に達する可能性がある。比較対象となる新電力・再エネインフラ系上場企業(レノバ、エネクスインフラ等)は概してPER15〜30倍水準で取引されており、成長率の高さとリスクの大きさを勘案するとこの水準が参考レンジとなろう。財務リスクとしては自己資本比率22.3%・有利子負債の大きさが懸念材料であり、系統用蓄電池の収益貢献が安定するまでは財務健全性を注視する必要がある。 グリーンローン(2025年11月に資金調達・充当状況開示)を活用した調達は資金コストの安定化に寄与する一方、条件付きの制約を伴う可能性がある。中長期的には、再エネ普及に伴う需給調整市場の拡大・電気工事の大型化・代理店販売網の拡充が株主価値の向上につながるシナリオが描けるが、電力市況悪化・金利上昇・規制変更の際には業績が大きく振れるリスクも持ち合わせている。