事業モデル
鹿島建設は、土木事業、建築事業、開発事業の3つを中核とした多角的な事業展開を行っている。土木事業では大型工事を中心に施工を進め、建築事業では高度な技術力を背景に多様な構造物を構築している。また、不動産開発全般や設計、エンジニアリングを含む開発事業を展開し、安定した収益基盤を構築している。
国内においては資機材販売や専門工事の請負、建物管理など多岐にわたる関連会社との連携体制を整えている。海外においても北米、欧州、アジア、大洋州の各地域で建設および開発事業を展開しており、グローバルな事業規模を拡大している。
KPI
当連結会計年度における売上高は、海外関係会社の成長を主因として前年比9.3%増の2兆9,118億円に達した。土木事業では施工の進捗により売上高が4,041億円となり、営業利益は前年比53.4%増の357億円と大幅な伸長を見せた。建築事業は売上高が1兆534億円となったものの、売上総利益率の改善により営業利益を512億円確保している。
開発事業等においては、計画的な不動産販売により売上高が前年比19.9%増の1,023億円となり、営業利益も大幅に増加した。海外関係会社の売上高は1兆円を超え、東南アジアや米国での好調な推移が寄与している。
成長ドライバー
同社は「鹿島グループ中期経営計画(2024~2026)」に基づき、国内・海外の建設事業および開発事業のさらなる強化を推進している。特にインフラ老朽化対策やデジタル化に関連する投資は、中長期的な拡大が見込まれる重要な成長領域と位置づけている。技術革新の側面では、溶接ロボットの導入による施工の自動化や「鹿島式ストレート梁工法」などの高度な建設技術の開発を進めている。
これらの技術開発により、現場の生産性向上と品質確保の両立を図り、競争力の源泉としている。また、R&Dやイノベーション3970を通じた新たな価値創出への挑戦が、持続的な成長に向けた重要な柱となっている。
リスク
建設工事においては、資機材価格や労務単価の急激な上昇といったコスト変動リスクに常にさらされている。これに対し、早期調達の実施や物価スライド条項の活用など、契約面での対策を講じて収益性を守る体制を構築している。また、海外事業においては進出国の政治・経済情勢の変化や為替相場の影響を受ける可能性があるが、専門委員会による厳格な審査体制で対応している。
不動産開発等の保有資産については、市場動向による価値下落リスクを把握し、適切な管理を実施している。さらに、建設業界における深刻な担い手不足への対応も、生産性向上や施工力の強化を通じて取り組むべき課題とされている。
競合
国内の建設市場においては、公共投資の底堅い推移や企業の設備投資拡大を背景に、安定した需要が見込まれている。同社は競合他社との競争において、品質、コスト、サービス内容の三位一体での優位性を維持することを目指している。特に高度な技術力を要する案件や大規模プロジェクトにおいて、独自の施工ノウハウとブランド力が重要な差別化要因となる。
また、海外市場においても地域特性に応じた経営基盤の整備とガバナンス強化を進め、グローバルな競争環境に対応している。これらの取り組みを通じて、建設・開発の両面で強固なポジションを確立しようとしている。
バリュエーション
最新の市場データに基づくと、同社の株価は5,961円となっており、時価総額は約2兆7,720億円に達している。PERは15.70倍と算出され、建設業種における安定した収益基盤を反映する水準にある。PBRは1.96倍であり、保有資産や技術力に対する市場の評価が示されている。
配当利回りは2.45%となっており、株主への還元も一定の水準で維持されている。これらの指標は、同社の強固な財務基盤と将来の成長に向けた投資姿勢を反映したものである。