事業モデル

同社はリチウムイオン二次電池用セパレータおよびイオン交換膜の製造・販売を主たる事業として展開しています。セパレータは、正極と負極を隔離しつつリチウムイオンの伝導性を確保する重要な役割を担っており、高度な高分子設計や数ミクロン単位の厚さ管理技術が求められる製品です。

近年は、長年培ったメンブレン技術を応用したイオン交換膜事業を新規事業として立ち上げました。この事業では、陽イオン・陰イオン・双極の3種類の膜を提供しており、リチウム精製プラントや水処理、水電解分野への展開を見込んでいます。

KPI

当連結会計年度におけるセパレータ事業の売上高は2,211百万円となり、新設されたイオン交換膜事業の売上高は1,419百万円を記録しました。両事業を合わせた連結売上高は3,630百万円に留まり、前年度と比較して大幅な減少となりました。

一方で、研究開発活動には年間669百万円を投じており、次世代セパレータや新規メンブレンフィルムの開発を継続しています。また、当連結会計年度の営業利益は4,919百万円の営業損失となっており、事業構造の変化に伴う投資と市場環境の影響を受けています。

成長ドライバー

成長の柱として、リチウムイオン二次電池の需要拡大を見込んだセパレータの高度化と、新規参入したイオン交換膜による多角化を推進しています。特に、当期より本格的な展開を開始した双極電気透析(BPED)モジュールは、リチウム精製や水処理分野での活用が期待されています。

また、将来的な成長に向けた課題として、顧客・製品の多様化による収益基盤の安定化と、生産設備の改良による製造コストの低減を掲げています。特に2026年以降を見据えたESS(エナジー・ストレージ・システム)向けなど、新たな用途への展開が今後の成長に向けた重要な焦点となります。

リスク

事業構造上、リチウムイオン二次電池用セパレータへの収益依存度が高く、EVやポータブル機器の需要動向に経営成績が左右されるリスクがあります。また、特定の主要顧客に対する売上集中も課題として認識されており、顧客による発注量の変動が直接的な影響を及ぼす可能性があります。

さらに、原材料であるポリオレフィンの価格変動や、特定仕入先への依存による供給の不安定化といった外部要因にも注意が必要です。技術革新のスピードが速い業界特性から、次世代製品の開発遅延や既存製品の陳腐化が競争力の低下を招くリスクも内包しています。

競合

同社はリチウムイオン二次電池用セパレータ市場において、大手企業が主導する競争環境の中に位置付けられています。競合他社と比較して顧客基盤や財源、技術的資源において劣る可能性があるため、独自の技術優位性をいかに維持するかが重要となります。

特に高度な膜技術を要する分野では、参入障壁は高いものの、大手による安価な製品提供や迅速な技術革新への対応が求められます。同社はこれに対し、独自の研究開発体制を通じて超薄膜化や高耐熱性といった付加価値の追求により競争力の確保を図る方針です。

バリュエーション

2026年8月13日時点の市場データにおいて、同社の株価は161円となっており、時価総額は約92.3億円です。この時点におけるPBRは0.23倍と算出されています。

同社は現在、プライム市場の上場維持に向けた課題に直面しており、今後の事業展開や経営基盤の強化が企業価値の向上に繋がるか注目されます。