事業モデル
同社は電気事業を主軸とし、ホールディングス、フュエル&パワー、パワーグリッド、エナジーパートナー、リニューアブルパワーの5つのセグメントで構成される事業体です。各セグメントは、電力の供給、送配電、販売、再生可能エネルギーの展開など、電力供給のバリューチェーンを網羅しています。
特に、送配電網の維持管理を行うパワーグリッドや、顧客へのトータルソリューションを提供するエナジーパートナーなど、多角的なアプローチで事業を展開しています。また、リニューアブルパワーを通じて国内外での再生可能エネルギーの新規開発や投資も積極的に進めています。
KPI
当連結会計年度の売上高は6兆3,285億円となり、前連結会計年度比で7.1%の減少となりました。一方で、経常利益は同64.0%増の4,173億円を計上しており、収益構造の改善が見られます。
一方で、当期純損失は4,542億円に達しており、これは災害特別損失や原子力損害賠償費などの巨額な特別損失を計上したことによる影響です。また、総販売電力量は前連結会計年度比6.7%減の2,132億kWhを記録しています。
成長ドライバー
成長戦略として、GX(グリーントランスフォーメーション)およびDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展に伴う電力需要の増加に対応するための安定供給体制の強化を推進しています。特に、脱炭素電源の確保やカーボンニュートラルの実現に向けた技術開発に注力しています。
また、経営合理化や資産売却を通じた財務状況の改善を図りつつ、アライアンスを通じて技術や能力の補完を図ることで、企業価値の向上を目指しています。2028年度以降のフリーキャッシュフローの黒字化を目標に、経営の安定化を急いでいます。
リスク
福島第一原子力発電所の廃炉作業は、燃料デブリの取り出しなど技術的に不透明な課題が多く、進捗の遅れが経営に重大な影響を及ぼすリスクがあります。また、ALPS処理水の海洋放出や汚染水の管理において、不備やトラブルが発生した際の社会的信頼への影響も懸念されます。
さらに、大規模な自然災害や設備事故、テロ、燃料調達の支障などによる電力の安定供給への脅威も重要なリスクとして認識されています。これらに対し、送電網の多重化やデジタル技術の活用、分散型電源の活用など、レジリエンス強化に向けた多層的な対策を講じています。
競合
電力供給の安定供給責任を果たすという公共性の高い事業を基盤としており、送配電網の維持や送配電設備の建設・保守において強固な地位を築いています。電力の安定供給に向けたレジリエンス強化や、カーボンニュートラルに向けた多様な電源の確保が重要な競争優位性の源泉となります。
一方で、小売事業においては競争の激化に直面しており、これに対応するため、多様なニーズに応じた料金メニューの提供や、迅速かつプッシュ型の電力供給といった付加価値の提供を進めています。また、GX・DXの進展に伴う新たな需要を取り込むための事業展開も重要な要素となります。
バリュエーション
2026年8月19日時点の株価は502円であり、同日の市場データに基づくPBRは0.24倍となっています。同日の市場データにおいて、時価総額は約8282.8億円と算出されています。
同社は、廃炉に向けた巨額の費用負担を抱えつつも、電力供給という不可欠なインフラを担う事業構造を有しています。現在の評価倍率は、保有する送配電資産や将来のカーボンニュートラルへの貢献度を反映する過程にあるとみられます。
