事業モデル
同社は、総合エネルギー事業、送配電事業、情報通信事業を戦略的事業領域と定め、トータルソリューションを展開しています。事業の大部分を占める電気事業においては、電力の安定供給と脱炭素化の推進を両立させるための戦略的な取り組みを行っています。
特に、電力供給の安定化に向けた原子力発電の活用や、脱炭素化に向けたLNGへの燃料転換など、地域・社会の課題解決に直結する事業を展開しています。また、送配電事業や情報通信事業を含めた多角的なアプローチにより、地域に根差したエネルギー供給体制を構築しています。
KPI
当連結会計年度の売上高(営業収益)は、燃料価格の低下に伴う燃料費調整額の減少等により、前連結会計年度比で869億円の減収となる1兆4,423億円となりました。営業利益は、原子力発電の稼働や需要獲得による好影響がある一方で、競争進展や送配電事業の利益減により、前年比389億円減の902億円となりました。
当期純利益は、特別利益の計上等を経て、前連結会計年度の984億円から685億円へと減少しています。また、当連結会計年度の特許出願件数は221件、新規登録件数は116件にのぼり、エネルギー業界トップレベルの知財基盤を維持しています。
成長ドライバー
「中国電力グループ経営ビジョン2040」に基づき、2030年度までの期間を「持続的な成長に向けた変革と基盤づくり」の期間と位置づけています。具体的には、島根原子力発電所3号機や柳井発電所新2号機への投資を推進し、安定的な供給力の確保と脱炭素化の両立を目指しています。
また、DXやGXの進展を背景とした電力需要の増加を見込み、地域におけるエネルギーソリューションの拡充を図っています。さらに、AIやIoTを活用した発電効率の向上や、脱硝触媒再生技術の開発など、研究開発を通じたイノベーション3970創出も成長の源泉として重視しています。
リスク
電力事業を取り巻く環境は、中東情勢に伴う燃料調達への影響や、電力システム改革の進展など、不確実性が高まる要因が多く存在します。これに対応するため、2025年6月にはリスク管理を一体的に担う「リスク管理部門」を新設し、統合リスクマネジメント体制の構築を進めています。
個別の重要リスクとしては、原子力関連の政策変更や規制動向、訴訟判断による影響、および燃料・電力の調達価格の変動による影響が挙げられます。特に燃料価格の変動と電気料金への反映のタイムラグによる差損や、卸電力市場の価格変動によるコスト増といった市場変動リスクに対し、デリバティブ取引等を用いた管理体制を整備しています。
競合
同社は、地域に根差した電力供給の基盤を持ち、送配電事業を含む強固なインフラを保有しています。電力供給の安定化と脱炭素化という社会的要請に対し、原子力やLNGへの転換を含む多角的なエネルギーソリューションを提供することで、競合環境における優位性を確保しようとしています。
特に、地域経済の縮小という課題に対し、GXに向けた企業の燃料転換ニーズや系統電力への切り替え需要を捉える戦略をとっています。これらのニーズに対し、ガスを含む総合的なソリューションを展開することで、地域におけるエネルギー供給の主導的地位を維持することを目指しています。
バリュエーション
2026年8月19日時点の市場データにおいて、同社の株価は951.4円、時価総額は約3350.5億円となっています。この時点でのPERは4.89倍、PBRは0.43倍と算出されています。
また、同日のデータに基づく配当利回りは3.22%となっています。同社は、資本効率を意識したROIC経営を実践することで、現状の低水準なPBRの向上を目指す方針を掲げています。
