事業モデル
当社グループは、紳士服・婦人服・服飾品等の製造販売を手掛けるアパレル企業で、子会社3社とともにファッション関連事業の単一セグメントを構成しています。自社ブランドに加え、複数の海外ブランドとライセンス契約を結び、その商標権の独占使用権を子会社から許諾される形で製品を展開しているのが特徴です。生産面では、子会社による国内縫製加工と、中国・アジア諸国を中心とした海外生産を組み合わせ、商社経由での納入や海外生産支援業務を通じてサプライチェーンを構築しています。
販売チャネルは百貨店が中心とみられ、中高級品市場に強みを持つ一方、近年は百貨店販路の売上縮小が課題となっています。収益構造は、季節商品を中心とした衣料品の販売が主体で、流行や天候の影響を受けやすいビジネスモデルです。ライセンスブランドが売上高の相当部分を占めるため、契約条件の変更やブランド価値の低下は業績に直結するリスクがあります。
KPI
当連結会計年度(2026年2月期)の連結売上高は584億4千8百万円(前年比3.4%減)、営業利益は12億9千8百万円(同52.2%減)、経常利益は14億3千6百万円(同49.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は41億1千3百万円(同2.7%増)でした。当期純利益が増益となったのは、投資有価証券売却益41億1千5百万円を計上したことが大きいとみられます。営業キャッシュ・フローは9億9千5百万円の収入で、前年の26億8千1百万円から大幅に減少しています。
財政面では、総資産は598億8千万円、自己資本比率は68.31%、ROEは10.26%となっています。また、株主還元策としてDOE(株主資本配当率)4%を目標に掲げており、配当利回りは6.64%(2026年9月4日時点)と高い水準です。生産・販売実績は服種別(紳士服・婦人服・服飾品他)で開示されていますが、具体的な数値は資料に明記されていません。
業績推移

売上高の推移(通期・直近4期)。出典は kabu-insight(yfinance 由来)の通期実績で、古い期から新しい期の順に並べた。
FY2023の売上高は582.7億円。
FY2024の売上高は613.5億円。
FY2025の売上高は605.3億円。
FY2026の売上高は584.5億円。
成長ドライバー
当社は2025年4月に中期経営計画(2026年2月期~2028年2月期)を公表し、長期目標として売上高1,000億円、営業利益率10%、ROE10%の達成を掲げています。初年度の業績が計画を下回ったことから、2年目以降の定量計画を修正し、既存事業の建て直しによるオーガニックグロースと、新規商圏確保のための戦略投資を推進する方針です。具体的には、主力ブランドの原点回帰や成功モデルの横展開、スーツ・洋品の再強化、エントリープライス商材の開発などに取り組みます。
また、フリー客(百貨店以外の顧客)対策として、新規会員の獲得や接客力の強化を図り、百貨店以外の販路開拓を促進します。2027年2月期の業績予想は売上高600億円、営業利益21億円(本社土地一部譲渡等の影響を除くと23億円)としており、減収からの回復を見込んでいます。中長期的には、アッパーミドル市場での存在感強化を目指し、ブランドポートフォリオの最適化やサステナビリティ戦略も成長の柱と位置付けています。
リスク
主力商品であるファッション衣料は、消費者の嗜好や流行の変化に大きく影響されるため、トレンド予測を外すと在庫リスクが増大します。実際、当連結会計年度はイレギュラ―な気象条件(冷夏や暖冬など)により季節商品の需要が変動し、売上高が計画を下回る要因となりました。また、百貨店を中心とした中高級品市場の低迷が続いており、消費者の節約志向やインバウンド需要の減退が販売に影響を与えています。
原材料価格の高騰や為替変動は仕入コストを押し上げ、利益率を圧迫する可能性があります。さらに、海外ブランドとのライセンス契約は売上高の相当部分を占めるため、契約条件の変更や解除、ブランドの市場競争力低下は業績に深刻な影響を及ぼし得ます。加えて、中国やアジア諸国に生産拠点を置くことから、地政学リスクやサプライチェーンの混乱、感染症の流行などもリスク要因です。情報セキュリティや品質問題、法的規制への対応も重要な経営課題となっています。
競合
アパレル・ファッション業界は、ラグジュアリーブランドと低価格帯アパレルが堅調に推移する一方、中高級品市場は百貨店を中心に低迷が続いています。当社はアッパーミドル市場に主力を置いており、同市場では国内外のブランドとの競争が激しいとみられます。百貨店販路への依存度が高いことが競争上の弱点となっており、販路の多様化が急務です。
当社は高品質・高品位・高付加価値の商品開発と、複数のライセンスブランドを擁するポートフォリオで差別化を図っています。しかし、競合他社の具体的な動向や市場シェアについては資料に記載がなく、業界内での正確な位置づけは不明です。中期経営計画では「アッパーミドル市場で圧倒的な存在感を持ったトップランナー」を目指すとしており、商品力と販売力の強化を通じて競争優位性を確立しようとしています。
バリュエーション
株価は2026年9月4日時点で1,429円、時価総額は約496.0億円です。PERは12.92倍、PBRは1.30倍、配当利回りは6.64%となっています。当期純利益が投資有価証券売却益で押し上げられた一方、本業の営業利益は大幅減益となっており、PERはやや割高感があるかもしれませんが、配当利回りの高さが株主還元の厚さを示しています。
自己資本比率は68.31%と財務体質は安定しており、ROEも10.26%と資本効率は良好です。中期経営計画では2027年2月期に売上高600億円、営業利益21億円を予想しており、今後の業績回復が株価評価の鍵を握ります。配当利回りが6%を超える水準は、市場が成長性よりも安定配当を期待していることを示唆しているとみられます。
