事業モデル

同社は子会社とともに、米国国内においてビットコインマイニングおよび高性能計算(HPC)ホスティング向けの産業規模のデータセンターを開発・運営しています。ハイパースケーラーのテナント向けに、複数の拠点でHPCデータセンター施設を開発する事業を展開しています。

また、ビットコインマイニング用データセンターにおける電力供給の運営や、複数の拠点にわたるパイプラインの維持も事業内容に含まれます。2021年に設立され、ニューヨークに本社を置く同社は、2026年2月に社名をCipher Mining Inc.からCipher Digital Inc.に変更しました。

KPI

最新の会計年度であるFY2025において、同社は売上高223,942,000 USD(=2.2億ドル)を記録しています。この数値は前年度の151,270,000 USD(=1.5億ドル)と比較して、前年比で48.0%の成長を見せています。

一方で、収益性は課題となっており、FY2025の営業利益率は-150.7%に達しています。また、同期間のROEは-102.1%となっており、売上高の拡大とは対照的に、大幅な赤字を計上する財務構造が顕著です。

業績推移

売上高の推移(通期・直近3期)。FY2023 1.3億ドル、FY2024 1.5億ドル、FY2025 2.2億ドル。0.9億ドルの増加

売上高の推移(通期・直近3期)。出典は kabu-insight(yfinance 由来)の通期実績で、古い期から新しい期の順に並べた。

FY2023の売上高は1.3億ドル。
FY2024の売上高は1.5億ドル。
FY2025の売上高は2.2億ドル。

成長ドライバー

同社の成長の主な要因は、ビットコインマイニングおよびHPCホスティングに向けたデータセンターの拡大と、それに伴う売上高の増加にあります。FY2025の売上高は前年比で48.0%増と、堅調な成長トレンドを示しています。

特にハイパースケーラー向けのHPC施設開発や、複数の拠点におけるパイプラインの確保が、将来的な事業規模の拡大を支える要素となります。同社は2021年の設立以来、インフラ構築と運用能力の拡大に注力しています。

リスク

財務面における最大のリスクは、売上高の増加にもかかわらず、営業利益率が大幅に悪化している点にあります。FY2025の営業利益率は-150.7%に達しており、事業運営におけるコスト構造の課題が浮き彫りとなっています。

また、純利益が前年比で-1742.2%と急激に悪化していることも、投資家にとっての重要な懸念事項となります。ビットコインマイニングやHPCといったエネルギー集約型の事業特性上、電力コストや設備投資の変動が利益に与える影響が大きいとみられます。

競合

同社は、米国国内におけるビットコインマイニングおよびHPCホスティングのインフラ提供という競争の激しい市場に参入しています。ハイパースケーラーを顧客とするHPC施設の開発は、高度な技術力と大規模な電力確保能力が求められる領域です。

同社は、特定の拠点における電力供給の運営や、広範なパイプラインの維持を通じて競争優位性を構築しようとしています。しかし、同分野では競合他社とのインフラ確保競争が激化しており、独自の運営能力の維持が重要となります。

バリュエーション

最新の市場データに基づくと、同社の株価は15.36ドルとなっており、時価総額は約63.7億ドル(6,375百万USD)です。この規模に対し、株価純資産倍率(PBR)は11.32倍と算出されています。

投資判断にあたっては、高いPBRが示す期待値と、現在の大幅な赤字を含む財務状況との乖離を考慮する必要があります。現在の市場評価は、将来のデータセンター拡張やHPC需要の取り込みに対する期待を反映しているものとみられます。